地震と螢

 千葉と新潟で地震があった。ここのところグラッと来ると、「ついに!」とたまらなく不安になるのは私だけではないはずだ。関東では大震災クラスが来る、来ると言われ続けていて、その周辺部で未曾有の地震被害も出ており、本当に怖い。
 田舎に住んでいた頃は、開けた何もない所に避難すれば何とかなると言われていたし、そんな場所がすぐ近くにあったのでそれほど心配ではなかったが、ある程度、都会に住むようになり、家庭を持つとその不安度は増すばかりだ。まあ、子どものころは気楽だったということでしょうが。
 千葉の地震では「地震雲」が出たと噂になっていたらしい。地震の予知については昔から俗説のようなものも多いのだが、曰く、ナマズが…、曰く、井戸水が、曰く、雲が、曰く、猫が顔を洗うと…?どれだけ科学が進んでもこの類の話はあとを絶たないようです。

 さて、話題は変わるが螢の季節である。「夏は夜。月の頃はさらなり。闇もなお螢の多く飛びちがいたる。」平安時代は、下水処理などなくて、汚水は垂れ流し、さぞ、水も濁って伝染病や病害虫の温床となっていたはずの水場、湿地。それでも自然の浄化力を人は越えることなく生活できていたのですね。清少納言の暮らす、京都の真ん中でも螢が飛び交っていたなんて。
 各地から螢の話題が聞こえてきます。なかなか螢狩りとしゃれ込む機会もなく、淡い光の飛び交う様をぼんやりと目に浮かべながら毎年この時期が過ぎてゆきます。まあ、良しとしましょう、「雨など降るもおかし」、梅雨らしい風情も。