今日の酒2−−王禄

 今夜は王禄(島根)純米生。地元産の有機山田錦を80%精白におさえた逸品である。米を磨いて旨いのは当たり前、低精白でいかなる酒を醸すか。蔵の腕の見せ所と言うべきか。呑んでみると、意外に酸が抑えられていて王禄らしいキレが際だつ。精米歩合が低いということで酸が強い酒を連想したのだが。やがて、ぐい呑みの中で温度が少し上がってくると渋みや苦みが旨味の周辺にあらわれ、複雑な味わいを見せるのであった。
 さて、この低精白という酒造りは、これからの日本酒造りの中で次のポイントになると思われる。古酒・貯蔵酒の流行から燗酒に流れ、次はこの低精白であろう。神亀の仙亀など意欲的な造りの酒がこれからも楽しませてくれるだろう。
 日本酒ではないが、酒飲みとして尊敬に値する酒飲みが住まう島、宮古島。海の美しさも、人の温かさも、半端な都会に住む我々には憧れの的である。さらに、夜ごと島の酒場では「オトーリ」なる呑みがくりひろげられるとのこと。それは、泡盛のロックや水割りを一つのコップで回し飲む、エンドレスの一気呑み大会である。(http://www.m-daiko.co.jp/mtown/shoku/bar.html)ただ、その座でコップは一つなので大人数の会の方が楽である。「親」の挨拶と「呑み」から始められ、右回りにコップを回せば豊漁祈願、左回りなら豊作祈願ということろが文化ですね。(TV東京・アド街参照)
 酒を飲むということが文化的な色彩を帯びていることがうらやましい。それを支えているのは泡盛という国の酒の存在であろう。我々が日本酒を飲まなくなって、「とりあえずビール」と言ってしまってから酒を飲むことが「とりあえず」に成り下がってしまったのでははいか。しかもそう注文して出てくるのはビールとは似ても似つかない「発泡酒」かそれ以下の液体である。もう、あれはデンプンさえあればビールらしきものはできるということです。学研の「科学」の付録みたいな発想ですね。